掲載日：2023年1月6日（金）
修習生のみなさん、こんにちは。遂に修習生活が始まりましたが、年末年始のお休みでは、ちょっと一息をついて旧交を温めたり、ご家族とゆっくり過ごしたり、ひとりの時間を大切に過ごしたりと思い思いのお時間を過ごされていることかと存じます。
もっとも、まとまった時間のある時こそ、法曹としての今後のステップアップの準備をする「インプット」の時間に充てられるといいですよね。
そこで、今回の特集では「【修習生必読】修習中に読むべき先輩お勧めの書籍リスト」をまとめてみました。修習前・修習中に読んでおけば必ず役に立つ「お勧めの書籍（2023年版）」について、先輩方からのアンケートを中心に内容をブラッシュアップしてみました。
みなさんのお勧めの書籍として人気だったのは、やはり「定番の書籍」ではありましたが、最新の書籍について、多様な情報を頂くことができましたので、早速こちらでもご紹介していきたいと思います。
＜お勧め書籍＞「白表紙」（司法研修所使用教材）
（お勧めする理由）
- 『実務家になった後も、そこに書いてある内容が事件処理の基礎となるため』（60期台）
- 『率直に言ってこれしか思いつかない。白表紙と、何より裁判、検察、弁護とそれぞれの基本的な考え方を理解するのが何より大切で、それは他の本には書いていない』（60期台）
- 『修習が始まると、起案を書く機会がいきなりあるので、起案の書き方を把握するためにも、検察「検察終局処分の考え方」、民裁「事例で考える民事事実認定」は特に読んでおいた方が良いです』（70期台）
- 『白表紙です。なんといっても修習生は白表紙が基本で一番大事です』（60期台）
トップバッターは、みなさまもご存知の通り「白表紙」です。アンケート結果では、本当に多くの先輩が、この「白表紙」の重要性を挙げていらっしゃいました。
例えば、『修習で学ぶことのほとんどがここに書いてある』（70期台）という意見も多かったです。さらには、『研修所から配られる白表紙だけて手一杯だと思います。そのため、白表紙だけに集中して読んでおくことをおすすめします』（60期台）という方もいらっしゃいました。
とにかく、「白表紙」をよく読んで理解していくことが、修習に必要な知識を身につけるうえで、非常に重要だということでした。
とはいえ、合格者の中には、『確かに、白表紙は大切だと思うけれど、できればそれ以外でも、何か修習前におくと役に立つ書籍を知りたい』という方も多いかと思いますので、その他の書籍の紹介も掲載させて頂きます。
＜お勧め書籍＞「要件事実マニュアル（1～5巻）」（岡口 基一 著・ぎょうせい）
（お勧めする理由）
- 『修習では要件事実は必要不可欠だから』（70期台）
- 『要件事実マニュアル。要件事実の知識は必須だから』（70期台）
- 『いろいろな訴訟が出てくるので、出てきたらそれを確認すべし』（60期台）
岡口裁判官の書かれた有名なこちらのシリーズが、上位にランクインしました。
要件事実については『修習では要件事実は必要不可欠だから』（70期台）という意見を多く頂きました。新司法試験では、要件事実も試験範囲に含まれています。そのため、修習中は、修習の前に学んでいるべき知識を前提にして、その実践・応用を試されるため、不安に思われる方も多いようです。「要件事実論３０講（共著・弘文堂）」のような「事例」を中心に要件事実を学べる書籍をオススメする意見も多くありました。
要件事実に関する書籍については、合格者の方も受験生時代に何冊かは購入していたが、合格後にこちらの要件事実マニュアルシリーズを本格的に揃える方も多いようですね。
なお、最近では「電子書籍版」も出ているので、そちらを購入して、お手持ちのノートパソコンで使うようにすれば、重い書籍を持ち歩かずに済みますね
＜お勧め書籍＞ 「刑事弁護ビギナーズver.2.1」（共著・現代人文社）
（お勧めする理由）
- 『刑事弁護ビギナーズ。刑事弁護の際に役立ちます』（60期台）
- 『刑事弁護の動きがわかり、また、弁護士のとるべき対応が書いてあるので、それに対して検察官はどう考えるか、裁判官はどう判断するかについて学ぶことができる』（60期台）
「刑事弁護の基本」が学べると評判のこちらの書籍も、お勧めする方が多くいました。
刑事弁護については、初心者の実務家用の書籍が少なく、修習に入るまでになかなかイメージをしにくいため、不安を感じる方も多いようです。そのような方にとっては、本書はまさに救世主となる本のようですね。刑事弁護の修習に入る前には、是非とも手にしておきたい１冊といえそうです。
番外編 「入社１年目ビジネスマナーの教科書」（金森 たかこ 著・プレジデント社）
先輩からのアンケートの中には、『法律書よりも、ビジネスマナー本などを読むのをおすすめします（60期台）』といったコメントもありました。
特に社会人経験がなくマナーに不安のある方は、メールや挨拶だけでなく、名刺の受け渡し方や座席の上座・下座のルールなど、一般企業の新卒向けの新人研修レベルのマナーを解説した書籍を修習前に軽く読んでおくと安心できそうです。
こちらの本は、イラストも多く、解説も簡潔でわかりやすい感じでした。
番外編 「入社１年目の教科書」（岩瀬 大輔 著・ダイヤモンド社）
上記で紹介した本とは異なり、マナーではなく、新人社会人として職場でどのように振舞うべきか、などの「心がまえ」が書かれた本です。
著書の岩瀬氏は、「ライフネット生命」の創業者として有名ですが、大学在学中に司法試験に合格した経歴の持ち主でもあります。
社会人経験の少ない人にとっては、マナー・作法といったことも重要ですが、それよりも、報連相の重要性、スピード感をもって仕事をすべきことなど、こちらの書籍で紹介されているような「社会人としての心がまえ」の方が、（評価される新人の立場としては）より重要ではないかとも思われます。お仕事をされる前に、是非一読をお勧めいたします。
その他 先輩達のオススメ書籍
その他にも下記の様に様々な書籍がオススメされていますので、「お勧めする理由」のコメントと一緒に紹介いたします。
「完全講義 民事裁判実務の基礎（上・下）」（大島 眞一 著・民事法研究会）
（お勧めする理由）
- 『要件事実と事実認定の基本がわかります』（60期台）
- 『修習中にもたびたび目を通したので』（60期台）
「第３版 離婚調停」（秋武 憲一 著・日本加除出版）
（お勧めする理由）
- 『弁護修習では離婚相談が比較的多いが、司法試験の過程では調停についてな学ぶことはほぼないため、イメージくらいはつかんでおくべき（調停は離婚に限るわけではないが離婚が多いので）』（60期台）
- 『家事事件は司法試験ではあまり深くやらないものの、実務では避けて通れない分野なので見ておいた方がいいと思います』（60期台）
「企業法務のための民事訴訟の実務解説」（圓道 至剛 著・第一法規）
（お勧めする理由）
- 『私は修習の後期に目を通しましたが、実務修習前に読むべきだし、指導担当裁判官はこの本に載っていることしか教えないんじゃないか、というくらい指導担当の話と重複するところが多かったので』（60期台）
- 『企業法務のためとあるが、それ以外の弁護士でもすごく分かりやすく民事訴訟の流れ、手続きが書かれている。裁判官目線でも書かれているため、信用できる』（60期台）
「弁護のゴールデンルール」（キース=エヴァンス 著 高野 隆 訳著・現代人文社）
（お勧めする理由）
- 『法廷弁護術について知ることができ、これを前提に先輩弁護士たちの活動を見た方がより理解が進んだと思います』（60期台）
「若手弁護士のための民事裁判実務の留意点」（圓道 至剛 著・新日本法規出版）
（お勧めする理由）
- 『若手弁護士向けの書籍ではありますが、若手弁護士が悩む点等について解説されており、これらの点について修習中に法曹三者から見聞きすることができれば理解が深まると考えられるため』（60期台）
「裁判官！当職そこが知りたかったのです。」（岡口 基一 他共著・学陽書房）
（お勧めする理由）
- 『弁護士と裁判官の感覚をそれとなく知ってから修習に臨んだ方が、より気づきが多くなると思います』（60期台）
以上、先輩のお勧めする書籍を紹介してきました。
最近では、amazonなどのネット書店でも、このような書籍を気軽に購入できますので、年末年始や週末のゆっくりできる時間を使って、気になった本についてはまとめて発注しておいてもよいかもしれませんね。
こちらの特集が、みなさんの参考になれば幸いです。
