75期の実務修習も開始間近!先輩から聞いた「実務修習のツボ」(2)検察修習編

先輩からのアドバイス
 みなさん、明けましておめでとうございます。本年も「司法修習ドットコム」をどうぞよろしくお願いいたします。
 さて、75期では「分野別実務修習」の第1クールも始まり、お正月気分もそこそこに、修習生のみなさんにとっては、今後の実務修習を乗り切っていけるか、大変に不安な時期だと思います。前回から始まった先輩から聞いた「実務修習のツボ」特集ですが、今回は「検察修習編」のツボを紹介させて頂きます。
 検察官志望の方にとっては、こちらの特集が「お守り」として、ご利益(?)があるかもしれません。是非ともご参考になさってください。

 まず、「検察修習についての全体的なツボ」としては、下記のようなアドバイスを頂きました。

「修習のツボ」(2)検察修習編

  • 「弁護士から裁判官になる道はあっても、検察官になる道はないので、弁護士志望の人にとっては『検察官の仕事を体験できるのは人生でこの時をおいてない』と思います。しっかり検察官になったつもりで修習をするとよいと思います。
     やや体育会的な雰囲気が自分にはあっていましたが、官僚主義的な人には合わない場合も、もしかしたらあるのかもしれません。(60期台)」
  • 「私は弁護士ですが、検察官がどのように考えるのか、『検察官の発想』というものを、今となっては敵としての立場でうかがい知ることしかできません。ぜひ懐に入り込んで、検察官の発想方法・考え方を学んできていただけると、検察官以外の仕事に就かれても大いに役立つはずです。(60期台)」
  • 「検察官志望者はもちろん、裁判官、弁護士志望者も、『検察官の仕事の仕方や考え方』を理解することは、その後の仕事に必ず役立つと思います。世間で思われている以上に、検察官は慎重に証拠を集め、薄い証拠で起訴することに慎重であることが分かると思います。(70期台)」

 上記でご紹介したように、「検察官の立場を経験できるのは、この修習の機会しかない方がほとんどであるので、検察官の考え方について、修習期間中にしっかりと学ぶべきである」といったアドバイスが非常に多かったです。
 検察修習は、「刑事事件」という重要な事件について、必要な知識を習得する重要な機会ではありますが、修了後には、検察官ではなく弁護士になる方も多いと思います。弁護士になる方にとっては、刑事事件の相手方である検察官という『敵の手の内を知る』という意味で、大変に貴重な機会であるといえるようですね。
 やはり、教官や先輩方に対しては、この検察修習中に、疑問点などを積極的に質問したほうが良いようです。

  • 「修習中、検察でしか経験できないこと、それが『取調べ』です。被疑者から供述を録取し、必要に応じた証拠収集活動を行い、終局処分を決定する。修習の中で最も責任が伴う役割と言っても過言ではありません。しかしだからこそ、緊張感をもって、本気で取り組む価値のあるものだと思います。検察修習は、いわばあなたの『全人格』が試される場です。とにかく、積極的な参加をしてみましょう。そうすると、あなたの修習時代の思い出の中で、一番最初に浮かぶのが、検察修習になるかもしれません。(60期台)」

 検察修習での具体的内容としては、このように「取調べ」を挙げる方も多かったです。
 起訴前の時点において、検察官には、そもそも「起訴すべきか・不起訴にすべきか」という判断を「起訴独占主義」のもとに委ねられています。そのような判断の前提として、被疑者と向かい合って「取調べ」を行い、取調べをもとにして「自分の責任」で起訴の判断をしていくのは、まさに「全人格」が試される場面といえるでしょう。
 検察修習は、実際にそのような責任感・緊張感を間近で体験できる、またとない機会といえるでしょうね。

  • 「『終局処分』を決める検察官の立場を学んでほしい。刑事裁判修習では、主に起訴後の事件を扱うが、検察修習では起訴前の事件を扱うため、証拠の見方等さまざまな点でのスタンスが異なることを深く理解して欲しい。刑事事件を進める上で不可欠なさまざまな手続きにも触れられる機会なので、存分に修習して欲しい。(70期台)」

 「取り調べ」と同様に、具体的内容としては、こちらのように「終局処分」を挙げる方も多かったです。確かに、こちらも検察修習の際でなければ、なかなか経験できないことですよね。

  • 「あくまで私の経験ですが、検察修習では、検察組織の体質なのか、胸襟を開いていろいろ教えてくれるということはありませんでした。個々の指導担当検事にはよくしてくださいましたが、捜査の実務や強制捜査の内情などは教えてもらえなかったです。
     警察官の捜査の現場にも立ち会いたい旨お願いしましたが、叶いませんでした。検察修習では、積極的に修習生の側からあれがしたい、これがしたいとお願いしないとなかなか成果が上がらないと思います。ぜひ頑張ってください。(60期台)」
  • 「検察官の思考方法や判断過程は独特のものがあり、これらを明らかにするような文献等は裁判官の場合よりも少ないと思います。また、検察修習でしかわからないような(外部にオープンにしない)検察官・検察庁の内部事情などもあると思いますが、修習生にはそういった部分もわりと教えてくれると思いますので、気になったことなどは遠慮せず、検察修習中にどんどん聞いたり調べたりしてほしいと思います。(60期台)」

 上記のアドバイスのように、検察という組織自体は、扱っている事件の性質上、あまりオープンにはできないことが多い組織なのだと思います。そうすると、法曹を目指す方にとって、検察官の本音や組織の実態に触れられるのは、まさに検察修習の時をおいて他にはないのかもしれません。
 もっとも、検察修習でも、熱心な修習生に対しては、真摯に応えてくれる先輩方も多いと聞きますので、検察官になりたい方や、検察官の考え方を学びたい方は、この時期には、ここぞとばかりに積極的に前に出て頑張るべきだと思われます。

まとめ

 以上が、検察修習について、修習中にやるべきことの先輩方から聞いた「修習のツボ」でした。
 検察官というと「体育会系で上下関係が厳しい」といった意見も多く聞きますが、社会正義を実現するために、「秋霜烈日」のバッジを胸に日々熱く奮闘されている先輩方ですから、修習生にも、その胸に飛び込んでいく「熱い覚悟」がまずは必要なのかもしれませんね。
 次回では、「弁護修習」についての「修習のツボ」を伝えする予定です。よろしくお願いいたします。

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