修習生アンケート「修習地の歩き方」(2)大阪修習編

 みなさん、こんにちは。76期予定の合格者のみなさんは、これからの修習生活や修習地の情報について、75期の先輩からお話を聞きたいけれど、「先輩方は2回試験の準備で忙しそうで、なかなか聞きづらくて・・・」という状況があるかもしれません。
 そのような合格者の皆様をサポートすべく、今回も「修習地の歩き方」をお届けいたします。前回は「東京修習」の情報をお届けしましたが、今回は東京と並ぶ大規模修習地である「大阪修習」の特集になります。
 西日本では最大の修習の地域となるだけに、地元・大阪の合格者だけでなく、関西地方全域から修習希望者が多いようですね。また、「食いだおれの街」と言われるだけあって、食に関するコメントも他の修習地よりも多くありました。
 それでは「大阪修習」の通信簿をご覧ください!

修習地・通信簿(大阪修習編)※5段階評価

<修習の満足度について>

[総合満足度] 平均 4.1
[民事裁判] 平均 3.7
[刑事裁判] 平均 3.9
[検察] 平均 3.9
[弁護] 平均 3.7
[プライベート] 平均 3.8

 大阪修習の「修習地・通信簿」の平均点は上記のようになりました。
 「総合満足度」は東京と同じく4点越えで、高い評価となっています。大規模修習地のために、東京修習と同様に、修習生1人当たりの担当事件の密度が薄くなってしまうところはあるようですが、反面、大阪ならではの「人情味あふれる」法曹の先輩方との交流が楽しかったという声も多かったです。
 それでは、大阪修習経験者の詳しい「生の声」を見ていきましょう。

[総合満足度] 平均 4.1

  • 「民事は、本人訴訟が大変。意味不明な事案を処理していかないといけない。本人さんが裁判所に乗り込んできて、騒ぐのもよく見た。代理人が就いていても意味不明な主張をする人がいるから、それを解きほぐして処理していくのは大変そうだった。刑事は、件数がとにかく多い。正直、見逃しや間違い、冤罪が生まれても仕方がないだろうなと思った。人の人生を左右する判断の責任は負えないと思った。」(60期代)
  • 「弁護修習先の先生もとても良い方で、自分の期待をはるかに超えて、素晴らしい人格者だった。他の修習生はひどい先生に当たってたので、当たりはずれの要素は強いと思いますが。」(60期代)

[民事裁判] 平均 3.7  [刑事裁判] 平均 3.9

  • 「部に配属されると、部総括裁判官(部長)、右陪席、左陪席(判事補の場合も)の最低3人の裁判官にお世話になります。左陪席の方が年齢も近いので、研修所の起案の書き方などは、左陪席に聞いてみるのがおすすめです。部長や右陪席からは、事実への着目の仕方や、経験則を学ぶ意識を持つと良いと思います。なお、質問する際は、事前に調べ「〜〜と考えてみたのですが」と、まず自分の考えを伝えてから聞くと、色々教えてもらえます。」(70期代)
  • 「仕事の面のみならず、人格面でも尊敬できる裁判官にはたくさんお目にかかることができました。しかし、『裁判官』という枠で人間性は一定の範囲に限られるように思いました。そして、その『裁判官』という一定の枠に自分ははまらないかと思いました。品行方正や、人としての模範的存在という面ですね。職業的な面でも、裁判官という職業の面白さを感じることはありませんでした。」(60期代)
  • 「弁護士になると、二度と、裁判官室に入ることはできないし、裁判官の本音を聞くこともできない。裁判修習で、裁判官が、どうやって事件の落としどころを探っているのか、事実認定をしているのか、和解を進めているのか、勉強して欲しい。」(60期代)

[検察] 平均 3.9

  • 「上下関係が厳しそうな雰囲気がぷんぷんしていた。自由な発想や事件処理はおよそ望めそうになく、組織に縛られる感がとても強かった。実際に接した検察官はみな良い人だったし、そこまで堅苦しい人はいなかったが、実際にその組織に属すると考えると二の足を踏むという印象だった。」(60期代)
  • 「大阪の検察修習は、大部屋に60人以上(当時の人数ですので、今はこれよりも少ないと思います。)の修習生が集まって修習を行いますので、同期ととても仲良くなります。修習後に飲みに行くことも多く、楽しい修習になると思います。
    大阪の場合、修習生の人数が多いため身柄事件は希望者に割り当てられます。検事志望の方は、積極的に事件の割り当てを希望した方がよいと思います。」(60期代)

[弁護] 平均 3.7

  • 「弁護士事務所によって、仕事のやり方、顧客との関わり方、受任の方針、事務所の雰囲気、交際範囲など千差万別です。弁護修習先だけではなく、関連した事務所にも修習として出してもらう(里子修習といいます)ことをおすすめします。」(70期代)
  • 「依頼者と二人三脚で戦う姿が頼もしかったです。自分で予定を組んで、自分のペースで仕事が出来ることに魅力を感じました。他方、どんな分野の相談も、ある程度の見通しを回答する姿をみて、自分もこんな風になれるのか、不安を感じました。」(70期代)

[プライベート] 平均 3.8

  • 「事件だけでなく、委員会活動、会派活動、弁護士団活動など、弁護士同士のつながりの作り方も勉強になります。他の弁護士に相談したり、共同受任などをしていることも多く、弁護士同士のつながりの重要性を感じました。」(60期代)
  • 「飲食店を開拓すると楽しいです。」(60期代)
  • 「大阪修習のように、たくさん人がいたほうが楽しい。」(60期代)

まとめ

 以上が、大阪修習についての先輩方の「生の声」でした。
 東京修習と同じように、大規模修習地ならではの良さもあれば、物足りなさもあるという感じが伺えましたが、修習生活をエンジョイできたという声が多かったです。

 修習中の「家賃の平均」は、ワンルームの方で「約6万円」でしたが、関西の場合には関東とは異なり「敷引き(契約時に保証金から差し引かれるお金)」などの独特の商慣習があるケースも多いようですので、契約時には注意が必要です。
 なお、「修習中によく行ったお店」としては、「大阪地裁の裁判官が作ったランチマップに乗っている店(70期代)」という意見がありました。裁判所内に美味しいお店のクチコミ情報が出回っているようです。こういう情報は、とてもうれしいですよね。裁判所内の雰囲気もよさそうですね。
 また、「裁判所の周りには美味しいランチが沢山あるので、お世話になりました。(70期代)」といった意見も多く、「食いだおれの街」だけに、食べるところには困らないようです。「先輩方が良くお店に連れて行ってくれました。(70期代)」という情報もありますので、先輩方との交流も活発なようです。とても楽しそう修習ですね。

 次回以降も、修習地の各地について、順次「修習地・通信簿」を紹介して行く予定です。
 修習前の情報収集にお役立てください。どうぞお楽しみに!

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