「ソクドク」って実際はどうなの?先輩への本音インタビュー!

 修習生のみなさん、こんにちは。
 前回の特集では、就職活動についての先輩方のアンケートなどを紹介させて頂きました。法律事務所への就職活動をしている修習生は、まさにその就職活動の真っ最中かと思います。もっとも、法律事務所に所属せず、最初から独立して自分の法律事務所を立ち上げる「ソクドク(即独)」も、頭をよぎる頃ではないでしょうか。
 今回の特集記事では、中々実態を知ることの難しい「ソクドク」について、実際に経験された若手の先生にインタビューをしてみましたので、是非とも生の声をご参考にしてみてください。


司会
司会

本日は『若手弁護士が語る「ソクドク」の実態』と題しまして、実際に司法修習中に「ソクドク」を決意して、独立された若手の先生をゲストにお招きさせて頂いております。本日は、ご多用の中、お時間を割いていただいて、誠にありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。


A弁護士
A弁護士

本日はどうぞよろしくお願いいたします。


司会
司会

それではさっそく「ソクドク」について、諸々とお聞きしていければと思いますが、まず先生が「ソクドク」をしようと決意された理由・事情などについて、簡単に教えて頂いてもよろしいでしょうか。


A弁護士
A弁護士

はい、私の場合は、弁護士を目指した理由が、そもそも「独立して自由に業務を行える職業」であるという点にありました。そのため、法律事務所には所属せずに、当初から「ソクドク」して、弁護士個人での業務をすることを考えていました。


司会
司会

そうなんですね。修習生の同期のなかで、A先生のように「ソクドク」を目指されている方は結構いらっしゃったんですか。


A弁護士
A弁護士

いえ、私の同期で「ソクドク」を目指している人はほとんどいませんでした。
法律事務所への就職活動をしている人や、すでにサマークラーク等で、法律事務所への内定が出ている人がほとんどでしたね。そのため、「ソクドク」についての情報がとても少なくて、また悩みを共有できる仲間も少なかったので、そこは苦労しました。


司会
司会

なるほど、そのような状況だと、今後どう進めていいかもわからず大変そうですね…
それでは「ソクドク」をしている先輩弁護士との交流はあったりしましたか。


A弁護士
A弁護士

はい、知り合いの弁護士で、「ノキベン」からすぐに独立されて、ほぼ「ソクドク」の状態で、10年くらい活躍されている先生がいらっしゃいました。国選弁護事件などの多数の刑事事件をはじめ、多様な事件を手掛けていらっしゃる先生です。
その先輩弁護士のご自宅兼事務所を訪問させて頂いたのですが、実際の事務所の様子を見たり、取り組まれてきた業務をお聞きして、「ソクドク」のイメージが自分の中で明確になりました。また、活躍されている姿にとても勇気づけられました。
時期としては7月くらいだったと思うのですが、この時に自分の中ではっきりと「ソクドクしよう」と決意したのだと思います。


司会
司会

「ソクドク」を決意されたあと、その手続きなどは順調に進んだ感じだったのでしょうか。


A弁護士
A弁護士

こちらは苦労しました。「ソクドク」を決意した後、今後に備えて、しっかりと修習生活で学ぶべきことについてはきちんと学ぼうと真面目に取り組んでいたのですが、「ソクドク」自体の準備については少しのんびりしてしまって、本格的に着手し始めたのは「2回試験」の前でした。
事務所開設の準備として、固定電話の回線申込・工事やその他の事務的な申込手続きなどに思ったより時間がかかりました。また新型コロナウィルスの影響で、そのような工事の日程が立て込んだりしていたので、正直かなり焦りました。
また、民事法律扶助の登録や、国選弁護の登録など、弁護士の業務に必要な手続きの知識などを調べるのも、なにせ初めてのことだらけなので大変でしたね。


司会
司会

誰にとっても初めての経験ですから大変そうですよね。所属されている弁護士会のサポートなどはいかがでしたか。


A弁護士
A弁護士

はい、そのようなときに大変助かったのが、所属弁護士会の「若手弁護士の支援制度」でした。弁護士会によっては、先輩弁護士のチューター制度とかが充実していますので、親身なアドバイスをたくさん頂けたり、事務所開設についての事務的な支援まであったりします。私も、弁護士会に支援を頂いて、本当に助かりました。
 「ソクドク」希望の方は、先にこのような支援制度を調べておいて、支援の手厚い弁護士会を選んで登録するのもアリだと思います。


司会
司会

それでは、そのようにして「ソクドク」されて、特に「良かったと思うこと」を簡単に教えて頂いてもよろしいでしょうか。


A弁護士
A弁護士

そうですね、良かったことは、いざ「ソクドクします!」と表明してみると、思っているより、先輩や同期で支援してくれる人が多かったということですかね。「大変だと思うけど、頑張れよ!何かあったら言ってくれよ!」みたいに、周りのみんなが応援してくれる感じで、頑張ろうとする若手に対する温かさをとても感じました。
また、「新人アソシエイト」の立場ですと「法律事務所の所属弁護士」という感じで、どうしても、最初は先輩弁護士やパートナー弁護士に隠れがちな印象がありますが、「ソクドク」すると「自分=看板弁護士」になりますから、ダイレクトにお客様とつながる=事務所ではなく自分だけを見てもらっている、と思える点では、責任感とともに非常にやりがいを感じますね。


司会
司会

反対に「即独」して「辛かったこと」を教えて頂いてもよろしいでしょうか。


A弁護士
A弁護士

先ほど申し上げたように、事前の準備を早めにしないと大変だということですね(笑)
あとは、やはり事務所経営の上では「仕事の取り方」がとても大事になりますが、「単発」でのお仕事は結構あっても、なかなか「顧問契約」につながらないことも多いので、定期的な収入につなげていくのが大変ですね。そういった覚悟は事前にしておく必要があります。
収入については、当初はなかなか安定した収入が見込めないので、例えば、司法試験受験予備校等の添削指導や受験指導の「副業」についても、「即独」前に早めに検討しておいて、弁護士としての業務開始時には、並行して副業の収入も入るようにしておく方が安心できますね。


司会
司会

収入のお話がありましたが、収入を確保するうえで、何かお客様を獲得するための「営業活動」的なことは、日々されていたりするのでしょうか。


A弁護士
A弁護士

私個人としては、「不特定多数」のお客様を相手にして、広く営業するスタイルは性に合わなそうなので、先輩弁護士や同期の弁護士に声をかけておいて、できるだけ「紹介」でやっていくスタンスを心掛けています。複数の弁護士で「共同受任」していくイメージですね。
他には、「異業種交流会」に顔を出して名刺交換を行い、できるだけ異業種の方にも人脈が広がっていくようにはしています。
なお、「弁護士ドットコム」といったWEBサイトに弁護士登録をして、ユーザーからの質問に答えることで、受任につながるケースもあるようですね。もっとも、「単発の質問に答えて、そこで終わり」だとそれっきりで終了になってしまうので、色々と相談を深堀りして聞いてみて、一歩踏み込んだ対応をすると「この先は、この先生に実際に相談しよう」と受任につながることもあるようです。個人的には、相談者との間に「人と人とのつながり」を築くことまでを意識して、粘り強く深く関わっていく姿勢が大切なように思います。


司会
司会

それでは最後に「ソクドク」を考えている修習生に、先生からの応援メッセージを頂いてもよろしいでしょうか。


A弁護士
A弁護士

「ソクドク」は、最初から計算通りにはいかないことも多く、大変だとはと思いますが、昔と比べるとWEBなどを使った新しいアピールの仕方もありますので、色々と貪欲に何でもやっていったほうがいいように思います。
 「これが正しいはずだ」という「正解思考」ではなくて、いろいろと興味のあること・気になったことに挑戦してみる「トライアンドエラー」の姿勢でいる方が、遠回りのように見えても、むしろ成功には近づけるように思いました。
 「ソクドク」そのものは大変ですが、その分とてもやりがいはありますし、みなさんが思う以上に、選択肢としては「かなりアリ」だと思います。興味のある方には、是非挑戦して欲しいですね。私もそのような後輩達を応援していきたいと思いますので!


司会
司会

最後に熱いお言葉をありがとうございました。
本日はお忙しい中を本当にありがとうございました!

 今回のインタビューは以上となります。
 インタビューさせて頂いたA先生はとても優しい雰囲気で、丁寧な話しぶりの方でしたが、反面、熱い思いもお持ちの方でした。先輩や同期の方々が応援してらっしゃるのも、このような実直なお人柄に惹かれているからだと思いますし、実際に案件を受任されているのも、依頼者にとっても安心感・信頼感があるからなのだろうなと思いました。個人的には、「ソクドク」の成功は、やはり最後はその方の「お人柄」に負うところが大きいように、私には思えました。 
 最後に、下記に例として、東京の弁護士会の「若手弁護士」や「ソクドク」についての支援をまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみてください。
 「ソクドク」を志す修習生の方々のご健闘を祈っております!

<弁護士会の「若手弁護士」や「ソクドク」支援(例)>

▼東京弁護士会(PDF)
https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2013_04/p02-15.pdf

▼第二東京弁護士会
https://niben.jp/admission/support/

修習関連情報一覧に戻る