昨年の司法修習はどうだった?(73期振り返り・新型コロナウイルスの影響編)

 みなさん、こんにちは。ついに1月に再度の緊急事態宣言が発令されましたが、いかがお過ごしでしょうか。2020年実施の司法試験については、新型コロナウイルスの影響で大幅にスケジュールが変更になりましたが、ついに1月20日に無事に合格発表を迎えることができました。合格者の皆さんは司法修習の準備に追われて、お忙しい毎日を過ごされているかと思います。
 今回の特集記事では、今年の司法修習の参考として、昨年度(2020年度)の司法修習での新型コロナウイルスの影響をレポートいたします。2020年度の司法修習では、特に「オンライン」での研修が行われましたので、そちらも踏まえて、実際に修習を終えたばかりの73期にインタビューしてみましたので、以下ご覧ください。


司会
司会

本日は「司法修習・最新情報」と題しまして、新型コロナウイルスの影響で、色々と変更になった司法修習のお話をお伺いしたいと思っています。特に「オンラインでの司法修習」について、詳しくお話を聞こうと思います。
まず、73期の修習生活についてお聞きしたいのですが、新型コロナウイルスの影響を受けて、どのような状況だったでしょうか。おそらく今年もあまり事情は変わらないような気がしますので、2021年の74期の修習生にとっても参考になると思います。参考のために、是非お話を伺えればと思います。


Aさん
Aさん

本日はよろしくお願いいたします。
そうですね、修習中の2020年4月に非常事態宣言が出たこともあって、例年とはかなり違った修習になったと思います。特に4月に、大阪地検で修習中の司法修習生が新型コロナウイルスにかかったという報道もあって、関係者もかなりピリついてたと思います。
とりあえず、修習が進むにあたって、外出ができなかったり、会食できなかったりと制限が厳しくなっていったので、各所での歓迎会や飲み会がどんどん無くなって行きましたね。


Bさん
Bさん

そうですよね、修習前はまだ日本国内でコロナの影響がまだ深刻になっていなかったので、修習の同期と飲みに行ったり、まだ修習同士での直接の交流の機会があったんです。
ただ、2月に豪華客船で新型コロナウイルスのクラスターが発生したあたりから、だんだんと風向きが変わって行って、修習生の間でも、自粛ムードの影響をひしひしと感じるようになってきました。
特に4月の緊急事態宣言が出たときに、なんとなく「ああ、俺の楽しい修習生活は終わったな」と感じましたね(笑)


司会
司会

ただでさえ、以前よりも短い修習期間なのに、直接の交流の機会がほぼほぼ無くなってしまうのは、厳しいですよね。特に今年の74期のみなさんは、修習開始前に同期同士での懇親会を行うこともできないでしょうから、コミュニケーションをとるのが大変そうですね。
自分の出身地や地元ではなく、地方での実務修習になった方は、現地ではどのように過ごされていたのでしょうか。


Aさん
Aさん

私はもともと首都圏在住だったのですが、司法修習は知り合いの全くいない関西地方で行いました。修習期間は最後のモラトリアムとして、自分の知らない地方で、新しい仲間や先輩と知り合ったり、観光や飲み会を存分に楽しみたかったというのもあります(笑)
とはいえ、新型コロナウイルスの影響が深刻になってくると、万が一、自分が感染してしまって、修習先の裁判所や弁護士事務所に迷惑をかけてしまうと本当に申し訳ないので、必要最低限の外出以外は、ずっと下宿先のワンルームのアパートに引き籠ってました。もちろん、修習先の同期とは、ZOOMで飲み会をしたりはしましたが、基本的には家でひとりでテレビを見たり、ネットをするしかないので、孤独感が半端なかったですね(苦笑)。
特に、実務修習先の修習生の歓迎会なども無くなってしまい、弁護修習で先輩弁護士に飲みに連れて行っていただいて、お話を伺ったりする機会もなくなってしまったのが、とても残念でしたね。


司会
司会

それでは、実際の実務修習の内容とかは、いかがでしたか。


Bさん
Bさん

修習自体も、途中から自宅待機になったりして、自宅待機中は研修所の方から指示された課題をこなしたりもしていました。
いずれにせよ、直接指導を頂いたりする機会がかなり減りましたので、モチベーションを維持するのも大変でした。「実際に就職してから、本当に弁護士としてやっていけるのかな」と、とても心配になりました。


司会
司会

特に後期の集合修習では、例年のように、研修所に集まって講義を行うのではなく、オンラインでの講義に切り替わったようですね。
実際にオンラインの講義を受けてみていかがでしたか。


Aさん
Aさん

オンラインの講義に関しては、開始時間になると先生とクラス全員がネットに接続して、先生の講義を聞く形で進んでいきました。
もっとも、回線の都合もあるため、修習生みんながそれぞれ動画付きのビデオ通話をすると重くなってしまうので、先生の講義中は、基本的には音声のみで聴講をする形式でした。そのため、自分の姿や他のクラスメイト姿は、授業中にはリアルタイムでわかりませんでした。みんなどんな表情で受講してるのか、まったくと言っていいほどわかりませんでした。


Bさん
Bさん

オンラインの講義って、目の前でやる講義と違って、自宅で部屋着とかでくつろいだ感じで聞いたりしてるので、やはりどうしても眠くなってしまうんですよね(苦笑)。
あとで聞くと、他の同期も、集中して授業を受けるのが大変だったようです。やはり、実際に対面で先生のお話を聞いたり、同期と意見のやり取りをしたかったですね。


司会
司会

なるほど、私も司法試験予備校時代に、ビデオ授業や音声授業では、しょっちゅう睡魔に襲われて苦しんでいたので、辛さはわかります(笑)
ちなみに、オンライン講義用に高速のネット回線を準備したり、そういったインフラ的な準備も大変だったのではないでしょうか。


Aさん
Aさん

はい、特に事前にオンライン会議用のパソコンを貸与してくれたり、回線の費用を負担してくれたりするわけではないので、こちらの負担も大きかったですね。
普段の生活ならスマホがあれば十分だけれど、自己負担で、オンライン講義用にパソコンを準備したり、家にネット回線を引いたりと結構準備も大変でした。


司会
司会

今年は導入修習からビデオ研修となるようです。なお、司法修習生と教官とが全く顔を合わせたことがない状態で始まるため、可能な限り「司法修習生がカメラをオンにした状態で参加することが望ましい」と推奨されているようです。まったく顔をあわさないで授業が進むあたり、本当に予備校の講義みたいですね。


Bさん
Bさん

あとは、私たちの73期の場合は、オンラインの集合修習もそうですけれど、例年よりも実地で行う研修の濃度が低くなっていると思うので、そこが一番心配ですね。
今後、「73期は新型コロナウイルスの影響でレベルが低い」とか言われるのはとても悔しいので、同期の仲間同士でも、そう言われないように頑張って行こうと話してはいますけどね。


司会
司会

なるほど、色々プレッシャーがあって大変ですね…
個人的には、73期のみなさんには、むしろ「新型コロナウイルスによる困難な状況を乗り越えた素晴らしい世代」と言われるように、今後の活躍を祈ってます!

 以上、今回は一旦ここまでとなります。
 まだまだ、74期については、今後の対応が変更になったりと不透明な点も多いと思いますが、法務省のHPに下記のような周知がありました。
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▼令和3年1月20日 第74期司法修習の導入修習の実施方法(オンライン方式)について
第74期司法修習の導入修習の実施方法について(PDF:128 KB)PDFファイル
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 上記を見る限り、オンライン研修用には、「Microsoft Teams(チームズ)を使うようですね。ZOOMを使われる方と多いと思いますが、事前にチームズを使ったビデオ会話や飲み会を行っておいて、アプリの操作に慣れておくとよいと思います。
 なお、パソコンとWEBカメラが別になっている場合、トラブルが起きた場合の問題の切り分けが難しいので、これからパソコンを購入する方には、最初からWEBカメラを内蔵しているパソコンを購入することをオススメします。

 今回の記事はここまでとなりますが、また修習に関する情報は、こちらでも連載していくので、チェックしてくださいね。74期の皆様のご活躍をお祈りしています!
 それでは次回をどうぞお楽しみに。

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