今読んでおきたい!「修習中にやっておけばよかったアンケート」(3)弁護修習編

 修習生のみなさん、こんにちは。今年の夏は各地で記録的な「猛暑」となり、暑さとの戦いの日々で、本当に大変な修習生活になっているかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。
 前回の特集では、「検察修習」について、法曹界の先輩方からの「修習中にやっておけばよかったアンケート」の集計結果を公開いたしました。
 今回の特集は、「弁護修習」についてのアンケートとなります。弁護修習は、裁判修習や検察修習と比べて、修習先となるそれぞれの法律事務所の個性が色濃く出る修習でもあるので、どのように修習生活を送るべきかという「コツ」については、実はみなさんが一番知りたいところかもしれませんね。
 修習生のみなさんの進路としては、「弁護士」が一番多いかと思います。是非とも最後までお読みください。

「配属される事務所によって扱う業務に違いはあるものの、それぞれに興味深い点があるので、吸収できるものは積極的に吸収してほしい。
 また、事務所によると思うが、率先して起案し議論するように心がけるとよいと思う。自分自身民事弁護と刑事弁護の起案を見てもらうことがないまま2回試験に突入することとなり、対策として不十分だったと感じた。
 ちなみに弁護修習では指導担当が食事に連れていってくれたり、非常に面倒見のいい人が多いので、充実した修習を送れると思う。」(70期台)

「弁護修習は最もバリエーションが多く、配属される事務所によって扱う事件も全く違う。
 自分も興味の方向性とは異なるタイプの事務所に配属されたが、結果としては視野が広がるきっかけとなった。
 そのため、配属先の得意分野を中心に積極的に取り組むと、得られるものは大きいのではないかと思う。」(60期台)

 弁護修習については、やはり法律事務所ごとに個性が異なる点を強調されているかたが多かったです。取り扱う業務もそうですが、先生方の個性についても、法律事務所ごとにかなりカラーが違うようでした。

「弁護修習は本当に当たり外れが大きいと思います。当たったらラッキーだけど外れた場合も落ち込まず、「あの事務所の先生のあの事件が見たいので」と言い切って、せっせと他の事務所に通いましょう。反面教師を探すのもよし、憧れの目標を探すのもよしです。」(70期台)

 こちらの方のように、極論すれば修習先の法律事務所には「当たり・外れ」というものがあるのかもしれませんが、自分の修習先の法律事務所だけでなく、他の法律事務所にも興味があれば、どんどん話を聞いてみたほうがいいようですね。
 例えば、最近は法律事務所主催のZoomセミナーなどもありますので、積極的に参加されるのもいいかもしれません。

「弁護修習においては、事件処理そのものよりも、どのようにして顧客を獲得し、どのようにして顧客との信頼関係を築くか、どのようにして事件やスケジュールを管理するのかを学ぶ方が重要であると思います。また、間違いなく名刺を一番消費するのが、弁護修習であると思います。飲み会に参加して、交友関係を広げましょう。」(60期台)

 この方のように、顧客の獲得方法や、顧客との付き合い方について、積極的に学ぶべきであるという点を強調されていた方も多かったです。
 裁判修習や検察修習と異なり、弁護修習に特有なところではありますので、最終的に任官・任検するか、弁護士になるかといった判断の参考にもなりそうです。
 なお、法律事務所に就職すれば、実務を開始してから、所属事務所の先輩弁護士から顧客対応の仕方を学んでいくことはできると思いますが、特に修習終了後に「ソクドク」を考えている方にとっては、この弁護修習のタイミングで、積極的に吸収する必要がありそうですね。

「弁護士になると、他の先生の相談を見る機会はありません。できるだけ指導担当の先生の相談のやり方を見て「自分ならどうやるか」「この点はよかった」「この点は自分ならこうする」といった具合に考えて、相談に同席することが重要になります。
 また、一番難しいのが「料金の設定方法」です。どのように料金を提示しているのか、修習中にしっかり見ておくと弁護士になったあとに役に立つのではないかと思います。」(70期台)

 このような「料金の設定方法」について、言及されているアドバイスもいくつかありました。どこかに「マニュアル」があるわけでもないので、先輩の先生方のやり方をみたり、また疑問なところは積極的に質問するなどして、自分なりに料金の設定の仕方を考えられるようにしていく必要はありそうですね。

「弁護修習は、基本的に「伝統的法曹像」が中心である。企業法務、街弁いずれになるにしても、一般民事、刑事弁護いずれも積極的に行うべきであろう。当時私は刑事弁護にほぼ興味はなかったが、指導担当の姿を専門性が高いものだと考えたぐらいである。
 現在、私は知財や渉外的紛争処理(裁判含む)、企業法務等を行っているが、一般民事や刑事関係の相談もある程度はある。M&AやITや知財といった業界にいく人も、積極的に行うべきであろう。むしろ修習でやっていなければ、やる機会もなくなるので将来的キャリアに響くおそれもある。
 また、クライアント対応も注意深く見ておくべきであろうし、場合によっては他所の事務所のクライアント対応もみて、とにかく多様に体験をする体験性重視が良いと考えられる。」(70期台)

 こちらの方のように「多様な経験をするべきである」といった種類のアドバイスが一番多かったようです。弁護士の業務は、裁判官や検察官と比べて、対応する業務の幅が広いので、修習生のうちにできるだけ多用な経験をしておくことが、今後の自分のキャリア形成につながっていくということです。
 そうはいっても、修習先の法律事務所が扱っている事件次第というところはあると思うのですが、その中でも色々な事件に関われるように、自ら積極的に動いたほうがいいようですね。

 以上、先輩からの「弁護修習」についてのアドバイスを紹介させて頂きました。修習が終わったあとには、弁護士として登録される方が一番多いかと思いますので、今回の特集が一番参考になるかもしれませんね。
 3回にわたり、「修習中にやっておけばよかったアンケート」をお送りしましたが、いかがでしたでしょうか。今回の「弁護修習編」だけでなく、「裁判修習編」「検察修習編」もあわせて読んでいただけますと幸いです。
 今回の一連の特集が、みなさんの実務修習のお役に立つことを願っております。最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。

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