掲載日:2023年6月14日(水)
修習生のみなさん、こんにちは。
本年度の司法修習も「分野別実務修習」の第3クールに突入し、修習生活の全体で見ても、まさに「中盤」に差し掛かってきたところといえると思います。みなさんの心の中には、そろそろ「このままで果たしていいのだろうか・・・」といった不安もよぎる頃かもしれません。
司法修習ドットコム編集部では、そのような不安な方にも参考となるように、法曹界の先輩方に「修習中にやっておけばよかったアンケート」を実施してみました。アンケートには、先輩方から「ああすればよかった・・・」「こうすればより充実した修習生活が遅れたのに・・・」という後悔が多く寄せられているのと同時に、修習生に対する「ポジティブなアドバイス」も多数いただいております。
たった一度しかない修習生活、後悔したくないみなさんには、必読の特集になるかと思いますので、是非お読みください。まずは「裁判修習編」からスタートです!
「弁護士になると、二度と、裁判官室に入ることはできないし、裁判官の本音を聞くこともできない。
裁判修習で、裁判官が、どうやって事件の落としどころを探っているのか、事実認定をしているのか、和解を進めているのか、勉強して欲しい。」(60期台)
「弁護士になると当然裁判官室に入ることはなくなるので、裁判官室で裁判官がどのような議論をしているのかをよく聞いておくといいと思います。
特に、期日の直後に裁判官が当該事案について話したことと、自分が期日で感じたことがどのように違うかという視点を持つと、自身にとって有用だと思います。」(60期台)
まずは、とにかく「二度とは無い機会」なので、貪欲に学んでほしいという意見がとても多かったです。
確かに、裁判官にでもならない限り、「裁判官室」での本音を聞く機会はなくなりますので、裁判修習中にどれだけ「裁判官の本音の考え」を学べるかは、今後、弁護士や検察官になる上でも、とても大切な姿勢になるかと思われます。
「指導を担当して頂いた裁判官の個性次第ではあるが、自分の指導担当裁判官はこちらから積極的に指導を仰いだときにはしっかり応えてくれる素晴らしい裁判官でした。カリキュラム上では、手薄になる執行・保全についても、理論面から解説してくれ、弁護士になった際の注意点まで教えてくれ、これは実務家になった今も役になっていると思います。
また、判決起案は、証拠と向き合い、自分の感覚が裁判官と乖離しているか否かを測れる唯一の機会になるので、しっかり取り組んだ方が将来の為になると思います。」(60期台)
「弁護士になると、記録をもとに裁判官と密に議論を交わす機会は二度とない。まずは記録を読み込み、裁判官を徹底的に質問攻めにすべき。
裁判官室は多くの場合気軽に話しかけづらい構造や環境なので、強いメンタルをもって取り組むべき。あとは、民法、民事訴訟法を一から学び直す良い機会。」(70期台)
また、忙しい裁判官に対しては、食らいついてでも話を聞くべき(質問をすべき)、熱心に取り組んでいれば耳を傾けてくれる、といった意見も多かったです。お忙しい裁判官も、熱心な修習生には答えようとしてくれるようですね。
またとない機会を生かすためには、より一層の「積極性」が求められる、ということであるようです。
「民事裁判については、訴訟物、要件事実を把握し、自分なりに主張整理をし、主張構造や証拠構造を把握しておくと、修習が実り有るものになると思います。
刑事裁判については、手続きが具体的にどの法律、規則の条文に基づいているのか、都度、条文を引いておくと良いと思います。」(60期台)
実際の裁判手続に則して、どのような主張整理をするか、どのような条文を実際に使うのかといった点についても、この機会にしっかり学ぶべきという意見も多かったです。
やはり、実際の裁判の場において、訴訟進行のスペシャリストである裁判官のそばで学ぶということは、座学だけでは学べない実践的な部分もあるのだろうと思います。
「部に配属されると、部総括裁判官(部長)、右陪席、左陪席(判事補の場合も)の最低3人の裁判官にお世話になります。左陪席の方が年齢も近いので、研修所の起案の書き方などは、左陪席に聞いてみるのがおすすめです。
部長や右陪席からは、事実への着目の仕方や、経験則を学ぶ意識を持つと良いと思います。なお、質問する際は、事前に調べ「〜〜と考えてみたのですが」と、まず自分の考えを伝えてから聞くと、色々教えてもらえます。」(70期台)
このように、裁判官に質問する際に注意すべき点について、具体的なアドバイスもいただけました。これは、裁判修習を経験している方でないとわからないところなので、大変に有難いところですね。
先輩に教えて頂く場合に、ただ質問するだけでなく、自分で調べて考えた意見も同時に伝えるべきであるというアドバイスは、一般企業でも共通する点かもしれませんね。
以上のように、先輩からの「裁判修習中にやっておけばよかった」という意見、「修習生にはこのように裁判修習を過ごしてほしい」というアドバイスを紹介させて頂きました。
実際に裁判官に任官される方は少数だと思いますので、裁判修習という貴重な機会を最大限に活かせるように、他の実務修習と比べても、何よりも「積極性」が大切なのかな、という印象を持ちました。
今後は、「検察修習」「弁護修習」についてもアンケートを紹介していきますので、是非楽しみにしておいてください。