掲載日:2021年3月2日(火)
みなさん、こんにちは!
新型コロナウイルスの影響で、例年よりも修習開始が遅くなり、74期修習生の皆さんは、今後の修習生活について、気が気でない時期を過ごしていらっしゃるかと思います。こんな時だからこそ、前向きに準備して、法曹としての知見を磨き、今後のステップアップとなるような時期にしたいですよね。
今回の特集記事では、「先輩達のオススメ!修習中に読んでおくべき書籍!」の最新版として、修習を終えた先輩方に、修習前・修習中に読んでおけば必ず役に立つ「オススメの書籍(2021年版)」として、アンケートを中心に内容をブラッシュアップしてみました。
やはり、みなさんのオススメ書籍として人気であったのは、「定番の書籍」ではありましたが、最新の書籍について、多様な情報を頂くことができましたので、早速ご紹介したいと思います。
第1位 「白表紙」(司法研修所使用教材)
(オススメする理由)
- 『白表紙です。なんといっても修習生は白表紙が基本で一番大事です』(60期台)
- 『実務家になった後も、そこに書いてある内容が事件処理の基礎となるため』(60期台)
- 『率直に言って思いつかない。白表紙と、何より裁判、検察、弁護とそれぞれの基本的な考え方を理解するのが何より大切で、それは本には書いていない』(60期台)
- 『修習が始まると、起案を書く機会がいきなりあるので、起案の書き方を把握するためにも、検察「検察終局処分の考え方」、民裁「事例で考える民事事実認定」は特に読んでおいた方が良いです』(70期台)
みなさまもご存知の通り、「白表紙」とは、修習生に配られる司法研修所の使用教材一式を指します。本当に多くの先輩が、白表紙の重要性を挙げてらっしゃいました。『修習で学ぶことのほとんどがここに書いてある』(70期台)といった意見も多かったです。さらには、『研修所から配られる白表紙だけて手一杯だと思います。そのため、白表紙だけに集中して読んでおくことをおすすめします』(60期台)という方もいらっしゃいました。
とにかく、白表紙をよく読んで理解していくことが、修習に必要な知識を身につけるうえで、非常に重要だということです(以前から修習生へのアドバイスとして、本当によく言われていました)。
とはいえ、合格者の中には、『確かに、白表紙は大切だと思うけれど、できればそれ以外で、何か修習前に読んでおくと役に立つ書籍を知りたいなぁ・・・』という方も多いかと思いますので、下記にその他の書籍の紹介も掲載させて頂きます。
第2位 「要件事実マニュアル(1~5巻)」(岡口 基一 著・ぎょうせい)
(オススメする理由)
- 『要件事実マニュアル。要件事実の知識は必須だから』(70期台)
- 『修習では要件事実は必要不可欠だから』(70期台)
- 『要件事実マニュアル1~5。いろいろな訴訟が出てくるので、出てきたらそれを確認すべし』(60期台)
岡口裁判官の書かれた有名なこちらのシリーズが、上位にランクインしました。
要件事実については『修習では要件事実は必要不可欠だから』(70期台)という意見を多く頂きました。新司法試験では、要件事実も試験範囲に含まれています。そのため、修習中は、修習の前に学んでいるべき知識を前提にして、その実践・応用を試されるため、不安に思われる方も多いようです。そのため、「要件事実論30講(共著・弘文堂)」のような「事例」を中心に要件事実を学べる書籍をオススメする意見も多くありました。
要件事実に関する書籍については、合格者の方も受験生時代に何冊かは購入していたが、合格後にこちらの要件事実マニュアルシリーズを本格的に揃える方も多いようですね。
第3位 「刑事弁護ビギナーズver.2.1」(共著・現代人文社)
(オススメする理由)
- 『刑事弁護の動きがわかり、また、弁護士のとるべき対応が書いてあるので、それに対して検察官はどう考えるか、裁判官はどう判断するかについて学ぶことができる』(60期台)
- 『刑事弁護ビギナーズ。刑事弁護の際に役立ちます』(60期台)
第3位には、刑事弁護の基本が学べるこちらの書籍がランクインされました。
刑事弁護については、初心者の実務家用の書籍が少なく、修習に入るまでになかなかイメージをしにくいため、不安を感じる方も多いようです。そのような方にとっては、本書はまさに救世主となる一冊のようです。刑事弁護の修習に入る前には、是非とも手にしておきたい1冊といえるでしょう。
番外編 「入社1年目ビジネスマナーの教科書」(金森 たかこ 著・プレジデント社)
『法律書よりも、ビジネスマナー本などを読むのをおすすめします(60期台)』といったコメントもありました。
特に社会人経験がなくマナーに不安のある方は、メールや挨拶だけでなく、名刺の受け渡し方や座席の上座・下座のルールなど、一般企業の新卒向けの新人研修レベルのマナーを解説した書籍を修習前に軽く読んでおくと安心できそうです。
例えば上記の本は、イラストも多くて解説もわかりやすそうでした。
番外編 「入社1年目の教科書」(岩瀬 大輔 著・ダイヤモンド社)
上記で紹介した本とは異なり、マナーではなく、新人社会人として職場でどのように振舞うべきか、などが書かれた本です。
著書の岩瀬氏は、ライフネット生命の創業者として有名ですが、大学在学中に司法試験に合格して、司法試験予備校である「伊藤塾」で働いていたことでも知られています。
社会人経験の少ない人にとっては、マナー・作法といったことも重要ですが、それよりも、報連相の重要性、スピード感をもって仕事をすべきことなど、こちらの書籍で紹介されているような「社会人としての心がまえ」の方が(上から評価される立場としては)より重要ではないかと思われます。お仕事をされる前に、是非一読をお勧めいたします。
その他 先輩達のオススメ書籍
その他にも下記の様に様々な書籍がオススメされていますので、「オススメする理由」のコメントと一緒に紹介いたします。
「完全講義 民事裁判実務の基礎(上・下)」(大島 眞一 著・民事法研究会)
(オススメする理由)
- 『要件事実と事実認定の基本がわかります』(60期台)
- 『修習中にもたびたび目を通したので』(60期台)
「第3版 離婚調停」(秋武 憲一 著・日本加除出版)
(オススメする理由)
- 『弁護修習では離婚相談が比較的多いが、司法試験の過程では調停についてな学ぶことはほぼないため、イメージくらいはつかんでおくべき(調停は離婚に限るわけではないが離婚が多いので)』(60期台)
- 『家事事件は司法試験ではあまり深くやらないものの、実務では避けて通れない分野なので見ておいた方がいいと思います』(60期台)
「企業法務のための民事訴訟の実務解説」(圓道 至剛 著・第一法規)
(オススメする理由)
- 『私は修習の後期に目を通しましたが、実務修習前に読むべきだし、指導担当裁判官はこの本に載っていることしか教えないんじゃないか、というくらい指導担当の話と重複することろが多かったので』(60期台)
- 『企業法務のためとあるが、それ以外の弁護士でもすごく分かりやすく民事訴訟の流れ、手続きが書かれている。裁判官目線でも書かれているため、信用できる』(60期台)
「弁護のゴールデンルール」(キース=エヴァンス 著 高野 隆 訳著・現代人文社)
(オススメする理由)
- 『法廷弁護術について知ることができ、これを前提に先輩弁護士たちの活動を見た方がより理解が進んだと思います』(60期台)
「若手弁護士のための民事裁判実務の留意点」(圓道 至剛 著・新日本法規出版)
(オススメする理由)
- 『若手弁護士向けの書籍ではありますが、若手弁護士が悩む点等について解説されており、これらの点について修習中に法曹三者から見聞きすることができれば理解が深まると考えられるため』(60期台)
「裁判官!当職そこが知りたかったのです。」(岡口 基一 他共著・学陽書房)
(オススメする理由)
- 『弁護士と裁判官の感覚をそれとなく知ってから修習に臨んだ方が、より気づきが多くなると思います』(60期台)
以上、オススメの書籍を紹介してきましたが、今はamazonなどのネット書店でも気軽に購入できますので、週末のゆっくりできる時間などを使って、気になった本についてはまとめて発注しておいてもよいかもしれませんね。
今後も皆様のお役に立てるような書籍を紹介していければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。