今読めばまだ間に合います!「修習中にやっておけばよかったアンケート」(2)検察修習編

 修習生のみなさん、こんにちは。各地で梅雨明けのニュースも聞こえてきて、夏日となる日も増えてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
 前回の特集では、「裁判修習」について、法曹界の先輩方からの「修習中にやっておけばよかったアンケート」の集計結果を公開いたしました。
 読者からは、「もっと先輩たちの本音を聞きたい」という声も聞こえてきておりますので、今回は続けて「検察修習編」をお送りさせて頂きます。
 検察官希望の方には、特に必読の特集になるかと思いますので、是非とも最後までお読みください。

「刑事弁護をやっていくにあたっては、相手方となる検察官の物の考え方や、取調に対して被疑者がどう反応するのかについて学んでおくことは非常に重要である。
 私の取調実習中に、こちらが強く聞いてもいないのに、プレッシャーからか数十件の余罪を自白し始めた被疑者がいたが、修習生に対してすらそうなのだから、検察官・警察官からのプレッシャーがどれほどのものなのかについても想像に難くないと実感できた。実感できれば、弁護人として活動する際にリアリティを持って被疑者に接することができる。」(60期台)

「検察官の働き方や組織構造を知ることが大切である。弁護士志望であっても、種々の刑事弁護のときの業務をスムーズにする。また、企業法務であっても、海外のクライアントの相談のときに、よくIT犯罪等も聞かれることがあるが、捜査共助とは何か?具体的に手続としてどのように進んでいくのか?といったことも聞かれるので、検察修習中にいろいろ聞いておくべきであろうと感じる。
 時には、捜査機関の側に間接的にたつこともあるため、刑事弁護にしろ、捜査機関側にしろ(被害者側も含む)、積極的に吸収すべきであろう。」(70期台)

 やはり、修習が終わってからはなかなか知ることのできない「検察官の考え方」をこの機会に吸収すべきである、という意見が一番多かったようです。
 「個々の検察官」の考え方だけでなく、「組織としての検察」の考え方・動き方など、この機会にしか学べないことを貪欲に学ぶ姿勢が重要のようです。

「検察修習中は、とにかく決裁の大変さを肌で感じてください。検察は組織ですので、検察官は自身が起訴するか不起訴にするか判断した事件について、次席検事や検事正に決裁をもらわなければなりません。
 私も修習生として決済を取りに次席検事のもとを訪れましたが、何度も突き返されました。事件に真摯に向き合わなければ、なかなか決済は得られません。そんな決済の大変さを肌で感じ、どんな事件でも真摯に向き合うことの大切さを学んでほしいと思います。」(60期台)

 このような「決済」の大変さを学ぶ機会として重要である、といった意見も多数ありました。決済を貰うためには、自分なりにしっかりと向き合って、上長である次席検事や検事正を理論的に「説得」しなければなりませんが、このような姿勢の重要性は、検察の世界だけでなく、弁護士や一般社会でも同じように感じます。

「大阪の検察修習は、大部屋に60人以上(当時の人数ですので、今はこれよりも少ないと思います。)の修習生が集まって修習を行いますので、同期ととても仲良くなります。修習後に飲みに行くことも多く、楽しい修習になると思います。
 大阪の場合、修習生の人数が多いため身柄事件は希望者に割り当てられます。検事志望の方は、積極的に事件の割り当てを希望した方がよいと思います。」(60期台)

 このように、その修習地ならではの特性について、回答してくれた先輩もいました。
 大阪修習に限らず、特に大規模修習地については、検事志望の修習生は、このアドバイスを見習って、積極的に事件の割り当てを希望していった方が良さそうですね。

「検察終局処分起案の考え方は、どんな法律問題でも普遍的に使える考え方ですので、これで立証目標や立証構造(証拠・信用性・推認力等)を意識して悉皆的に検討するくせを身につけていただくといいのではないかと思います。
 取調べでは要証事実を意識し、過不足のない調書を作れるよう工夫してみてください。ある事実を立証するためにどんな証拠があるかを推測し、警察に捜査の指示を出すといった経験は検察修習でなければできないので、是非積極的にやってみてください。」(60期台)

「終局処分なんとかという白表紙を何度も読んで、後ろの方のページにある答案の雛形の型を丸暗記することで必要十分だと思います。
 起案ではその型通りに書き、最後まで書ききれば二回試験で落ちることはありません。検事になりたい方は、成績をとることよりも指導担当検事や教官と仲良くなることと、検事になりたいと意思表明することが大事だと思います。」(70期台)

 このように「終局処分」についてのアドバイスも多く見られました。
 終局処分とは、事件について必要な捜査を遂げた後に、公訴を提起するかどうかを最終的に決める処分をいいますが、とにかく白表紙の「検察終局処分起案の考え方」を繰り返し読み込んで、頭に叩き込むように努力すべき、といった意見が見られました。
 実務修習での検察一斉起案の前に、こちらを熟読や書写をして、覚えるぐらいしてしまえば、その後はとても楽になるという意見もありました。

 以上のように、先輩からの「検察修習中にやっておけばよかった」という意見や、「修習生にはこのように検察修習を過ごしてほしい」というアドバイスを紹介させて頂きました。
 実際に検察官に任官される方は、弁護士と比べれば少数だとは思いますが、弁護士になってからも、刑事事件を扱うことは数多くあると思いますので、検察修習中に、相手方になる検察官の考え方をできるかぎり吸収することが、その後の弁護士としてのキャリアにも影響があるように思いました。
 次回は「弁護修習」についてもアンケートを紹介していきますので、みなさま是非とも楽しみにしておいてください。

修習関連情報一覧に戻る