法律事務所・就活のココロエ(エントリーシート・志望動機編1)

 みなさん、こんにちは。新型コロナウイルスの感染拡大によって、国内外で経済活動が制限され、景気の先行きに不透明感が漂う中、企業側も採用抑制の動きを見せており、就職活動も非常に厳しいという話を聞きます。この点については、弁護士業界も、決して例外ではないと思われます。
そこで、今回の特集では、弁護士事務所を経営するパートナーや人事担当者の協力を得て、法律事務所への就職を希望する修習生の方を対象に、法律事務所ならではの就活情報・就活のコツについて、お送りしたいと思います。
 題して「法律事務所・就活のココロエ」です。まずは法律事務所とのコンタクトの第一歩として非常に重要な「エントリーシート・志望動機編1【採用側のホンネ】」をお送りいたします。パートナー弁護士の考える採用側の「ホンネ」をアツく語って頂きます。
 ※ なお、以下は、取材を踏まえたフィクションです(登場する人物や法律事務所等は、実在のものとは関係ありません)。

ゴリラに似たパートナーさん(通称 ゴリパー):
所属弁護士数十人を抱える中規模の法律事務所を経営するパートナー弁護士。
ここまで大きくするのに苦節20年。
これまで、実際に数百人の弁護士志望者を面接。仕事には厳しいが、できるだけ応募者の良い点や思いを汲み取ることをモットーとしている人情味あふれる弁護士。
趣味はソロキャンプ。好きな映画は「ラブアクチュアリー」。
タントウさん:
法律事務所の採用担当。他業種も含めて1,000人以上の書類選考・人事面接を担当。
書類選考のスペシャリスト。エントリーシートのクオリティを瞬時に判断して、高速で仕訳するのが特技。
趣味はボルダリング。好きな映画は「グレイテスト・ショーマン」。


ゴリパー
ゴリパー

就活について語る前に「弁護士の主な仕事」って何だと思う?


タントウ
タントウ

依頼者のために全力をつくすことですか?


ゴリパー
ゴリパー

そういう建前的なのはいいんだよ。多分どの先生もそうだけど、「文章を書く」のが仕事の大部分になるんだよ。尋問とか交渉とかはもちろん技術としては磨かないといけないとは思うけど、まずは「文章を書く」のが仕事なんだよ。


タントウ
タントウ

なるほど。


ゴリパー
ゴリパー

いや、何が言いたいかって言うとな、下手くそな文章書いたES(エントリーシート)送ってくるとその時点でちょっと適性ないんじゃないかって思うんだわ。期限もなく、考える時間がたくさんある中で変な文章しか書けないんだったら、弁護士には向いてないんじゃないかな。司法試験受かって文章力に自信を持っている人もいるかもしれないけどな、下手くそかどうか自分では分からないことが多いから、恥ずかしいかもしれないけど、修習の同期に文章見てもらうとかして意見もらっておいた方が絶対にいいよ。
あとね、よく言われることかもしれないけど、コピペは結構分かるよ。具体的なことは書かないで、一般的抽象的なことに終始しているとコピペっぽく見られがちなんだけど、コピペっぽく見られるような文章なら書き直した方がいいよ。
弁護士ってさ、先生にもよるかもしれないけど数十件色んな種類の案件抱えてて、雛形とかある程度あるかもしれないけど、それを日々こなしているんだわ。この辺は修習で見てると思うけど。そういう世界に入るのに、たかだかESも書けないんじゃねって思ってる先生多いと思うよ。


タントウ
タントウ

(うわあ・・・熱いなあ・・・)
いきなり説教で入るとは中々体育会系ですね。色々話もあると思うんで、具体的な中身に入っていきますか!
そしたら、志望理由書とか「志望動機」のところに関してご意見ください!


ゴリパー
ゴリパー

志望動機は、どこの事務所でも必ず書く事項だよね。さっきの話にもつながるんだけどさ、これが短い人って結構いるのよ。A4半分とか。小学生の時に、原稿用紙の8割くらいは埋めろって言われなかった?俺が昭和だからか?あなたの事務所に入れてくださいって熱意を見せるところなんだから、短かったらさ、この人本当にうちの事務所に来たいのかな?とりあえずどこでもいいから就職したいだけなんじゃないのかな?って思うよね。
まあ、だからさ、A4で8割は最低書いて欲しいよな。1枚半くらい書いてあると、お、なんかやる気あるなって思うよ。
あとな、自分が何をしたいのかってのがはっきりしない人が多いな。本心では働ければどこでもいいのかもしれないけど、あとで話すようにな、雇う側もさ、結構な覚悟して雇おうとしているのよ。だからさ、ある程度、その事務所で働く覚悟を決めて、ESもな、そこで働く自分を想像して書くようにした方がいいと思うで。
「志望動機」のところを話す前に、まず、経営者側が何で人を雇いたいと思ったか話そうか。大手で採用をサイクル化しているところはおいておいて、基本的には、「仕事が増えてきたから、雇った弁護士と仕事を分担して、空いた自分のマンパワーでさらに仕事を増やして事務所を大きくしたいから」ってことだと思うんだよな。
そうするとさ、雇う側としてはさ、事務所でたくさんやってる事件が得意だったり、興味があったりする人を雇いたいって思ってるはずなのよ。
弁護士一人の売り上げって分からんけど3,000万円くらいだとしてさ、そこから400万円から600万円くらい出すわけよ。もっと出す人もいるかもしれんけどさ。そしたら、なるべく事務所事件に適性がある人を雇いたいだろ。


タントウ
タントウ

そらそうですね。そうすると、「わたしは、○○にすごく興味があります!貴事務所では○○という分野を多く扱っています。だから志望しました!よろしくお願いします!」って流れで書くのが基本なんですかね。


ゴリパー
ゴリパー

基本はそう。まあこの基本ができていない人も結構いる。刑事弁護専門でやってる事務所にさ、「交通事故やりたいです!」って応募するアホはそんなにいないと思うのよ。
そういうやつは論外としてさ、この基本をちょっと説明してあげるよ。タイムチャージ1時間33,000円(税込)な。


タントウ
タントウ

あとで見積もりください!


ゴリパー
ゴリパー

「わたしは、○○にすごく興味があります!貴事務所では○○という分野を多く扱っています。だから志望しました!よろしくお願いします!」
これを分解するとな
①わたしは、○○にすごく興味があります
②貴事務所では○○という分野を多く扱っています。
になるだろ。
まず、①に関してな。これはもう自己分析して、自分が何をしたいのかってのを掘り下げていく作業をした方がいいと思う。修習行く前に就活する人は実務見てないから難しいかもしれないけど、それでもサマークラークに行ったり、先輩見つけて話を聞きに行ったり、自分のやりたいこと、興味があることを深堀りしていくんだ。ここは、大学生の就活とあまり変わらないんじゃないかな。とにかく足を動かす。著名な人の本を読むでもいい。主体的に行動しないとな。
なんかさ、進学校ってさ、高校の頃なんか頭いい奴は医学部行くみたいな雰囲気あるじゃん。


タントウ
タントウ

あーありますね(適当)進学校匂わせですか?


ゴリパー
ゴリパー

匂うかな?
まあ、あんなかんじで、企業法務やってるところ行きたいって人が結構いるんだけどさ、「企業法務やりたいです!」って書くだけじゃなんかアホっぽいなってなるじゃん。
「企業法務」の中で何をやりたいのか具体的に書いていくのが必要だと思うんだよね。あんまり具体的に書けないなら、本当は企業法務にあんまり興味ないと思うから、自分に正直になるのも一手じゃないかね。
あと、興味って変わるものだからさ、修習見てやってみたいもの探すのもいいと思うよ。俺の同期でもさ、学生時代は絶対検察官!って言ってた人で弁護士やってるやつも結構いるし。
次に、②に関してな。これは、志望先の事務所の調査だな。これが甘い志望者が結構多い。
ウェブサイトがある場合は、ウェブサイトを細かく見るんだ。「業務内容」とか「サービス」とかに扱っている分野が書いてあるからさ。ここのポイントは、メインの業務は大体上の方に書いてあるってこと。ホームページを見る人は、上からスクロールして見ていくから、「力を入れている業務は上に書くことが多い」のよ。
だからな、例えばある法律事務所のウェブサイトにな、上から「建明け→交通事故→医療訴訟」って書いてあったら、メインは「建物明渡請求」だと思った方がいいよ。だからESに建物明渡訴訟に興味ありますって書いた方が通りやすいのよ。ここで「医療訴訟やりたいです!」ってES書くと撃沈することが多いかもしれないな。実際おれが修習生のときの就活で撃沈している人見たからな。
あんまり力は入れてないけど、とりあえずウェブサイトに書いてある分野って、前に一回やったことある業務で、今後も案件来たらいいなあという期待をこめて載っけてることが結構多いからな。
そういう業務やりたいですって言ってもあんまり響かないのは分かるよな。
あと、たまに、外資系の事務所に行きたいんだけど、ホームページがあまり充実してなくて困ってます、みたいなこと後輩から聞かれることがあるのよ。これはさ、「ひまわり」に出てるけどホームページがない事務所に行きたい場合もいっしょなんだけどさ。①でも言ったけど、まずはなんで外資系事務所だったり、その事務所だったりに行きたいのか自身の動機を掘り下げた方がいいと思うで。別に英語喋れるからそれを活かしたいでもいいし、初任給高いからでもいいと思うし。自分の動機と、その事務所をどうつなげるかなんだと思うのよね。そこがつなげられないなら、多分ミスマッチなんだと思う。
うーん、長くなってきたかな。ちょっと休憩な!


タントウ
タントウ

はい!では、コーヒーでも持ってきますね!
(ゴリパーさん、今日はいつも以上にアツいなぁ・・・)

 今回は、一旦ここまでとなります。
 アツい「ホンネ」を語ってくれるゴリパーさんですが、次回はよりヒートアップして、さらにホンネの話が聞けそうですね。タントウの煽りに期待ですね。なかなかここまで採用を担当するパートナー弁護士の本音を聞ける機会はないかと思いますので、修習生にっては、かなり貴重なチャンスだと思います。
 そうは言っても、「じゃあ、志望動機って、実際にはどのように書いたらいいんだろう…」と悩まれる修習生の方も多いかと思いますので、次回は「具体的なエントリーシートの書き方」について、「サンプル」となるようなエントリーシートをもとに、ゴリパーさんにビシビシ斬ってもらおうと思います。次回も、ゴリパーさんにはアツく語ってもらいましょう!(タントウさんも頑張って…)
 それではどうぞお楽しみに!

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