修習生アンケート「修習地の歩き方」(3)那覇修習編

 みなさん、こんにちは。76期の修習生の方も、ついに始まる修習生活を控えて、期待と緊張の日々を送られていることかと思います。この「修習地の歩き方」の特集も、ついに第3回を迎えまして、人気の東京・大阪に続いて、今回は人気修習地である沖縄県「那覇」の修習情報をお届けいたします。
 「那覇」といえば、美しい海や温暖な気候、おいしい特産品にゴルフなどのスポーツの環境も充実した修習生にとっては昔からの「人気修習地」ですが、実際に現地での修習を経験された方たちは、どのような「歩き方」をされてきたのでしょうか。
 アンケート結果などから、修習経験者の生の声を集めた「修習地の歩き方」那覇修習編、どうぞご覧ください。

修習地・通信簿(那覇修習編)※5段階評価

<修習の満足度について>

[総合満足度] 平均 4.6
[民事裁判] 平均 4.0
[刑事裁判] 平均 3.8
[検察] 平均 4.5
[弁護] 平均 3.6
[プライベート] 平均 4.8

 那覇修習の「修習地・通信簿」の平均点は上記のようになりました。
 「総合満足度」は、4.6点と非常に高く、現地での修習生活の充実ぶりがうかがえます。東京や大阪と比べると大規模ではないため、それぞれの実務修習の密度も濃くなっていそうです。
 また、「プライベート」の満足度は、4.8点と全国でも最高レベルで高く、リゾートならではの充実した修習生活を過ごせているようです。那覇修習でゴルフを覚えた方、スキューバダイビングなどのマリンスポーツを初めて体験してハマった方、将来の奥様と出会えた方等々、 「沖縄修習は本当に最高だった!」という声をよく聞きました。
 それでは、那覇修習経験者の詳しい「生の声」を見ていきましょう。

[総合満足度] 平均 4.6

  • 「指導を担当して頂いた裁判官の個性次第ではあるが、自分の指導担当裁判官はこちらから積極的に指導を仰いだときにはしっかり応えてくれる素晴らしい裁判官でした。カリキュラム上、手薄になる執行・保全を理論面から解説してくれ、弁護士になった際の注意点まで教えてくれ、これは実務家になった今も役になっていると思います。また、判決起案は、証拠と向き合い、自分の感覚が裁判官と乖離しているか否かを測れる唯一の機会になるので、しっかり取り組んだ方が将来の為になると思います。(70期台)」
  • 「とにかく積極的に質問したり、起案をしたりすると良いと思う。裁判官は性格的にも受身的な人が多く、修習生側からアプローチしないと放置されることもままあると思うので、積極性が大切だと思う。頑張ってください。(60期台)」

[民事裁判] 平均 4.0  [刑事裁判] 平均 3.8

  • 「裁判官とたくさんお話しをしてください。裁判官の考え方を裁判外で聞いたり、裁判官の横で裁判傍聴するなんて裁判官にならないともう体験できないので、すごい貴重な時間です。当時の私は民事と刑事を合わせると裁判修習が1番長くて弁護修習もっとやりたいと思ってましたが、将来の自分の職業じゃない修習ほど大事だなと今は思ってます。(60期台)」
  • 「弁護士になる方でも、裁判所の内側から見るのは最後ですので、裁判官がどのように考えているかをできる限り吸収してください。また、裁判官を迷っている方は、転勤さえ我慢できれば、ほかの公務員にない魅力的な仕事であると思います。また、裁判所の雰囲気も穏やかで、いる方も普通の方が多く、職場環境としても魅力的です。(60期台)」
  • 「裁判官になることは、教官や修習地の裁判官から任官の誘いを受けて考え始めた。修習地の裁判官の能力が高く、人柄も良かったため、人的環境は悪くないと感じた。事実認定や訴訟指揮における思考や判断が自分に向いていると感じ、また、地方暮らしを経験して転勤も悪くないと考えたため、真剣に検討するようになった。(70期台)」

[検察] 平均 4.5

  • 「検察修習でお世話になった検察組織の方々は、みな本当に人格者でした。仕事に熱意を持ちながらも、仕事を離れると、皆でくだらないことで盛り上がる。こんなメリハリのある方々が検察には多かったです。「取調べ」という、任検する人以外はこの検察修習でしか経験できない行為を体験し、自分に合っているなと感じたことはもちろんのこと、やはり上記のように、『いい人』『いい組織』に恵まれ、『こんな人たちと仕事が出来たらいいな』と感じました。(60期台)」
  • 「検察官になりたい方は、積極的に飲み会の幹事をやりましょう。同期の友人の話によると、そのようなこともリクルートで考慮されているとのことでした。検察修習が一番きついと言われがちですが、そこは一生に一回の修習なんだと思い、気合で乗り切って下さい。(70期台)」

[弁護] 平均 3.6

  • 「ダントツで1番楽しかったです。修習担当の先生と1対1だからというのもあると思いますが、1番充実してました。依頼者にすごく近くて依頼者のためになりたいと思える一方で、自分の知識をフルで絶え間なく出さなきゃいけないという緊張感がありました。(60期台)」
  • 「いい意味でも悪い意味でも仕事の自由度が高いと思います。仕事面では、様々な種類(一般民事、家事、刑事など)に携われるので、裁判官・検察官よりも自分にあっていると感じました。一方で修習先は一人事務所だった為、すごく小さな会社の社長でもあり、自分が倒れたらこの事務所の依頼者、先生の家族はどうなってしまうのだろうと思う面がありました。(60期台)」

[プライベート] 平均 4.8

  • 「那覇修習では、ダイビングやゴルフなどアクティビティがたくさんあるので、是非楽しんでください。個人的には早めに車をゲットした方が行動範囲が広がり充実度が上がると思います。(60期台)」
  • 「規模的にちょうどよく、みんなアットホームで、海がきれい。(60期台)」
  • 「第2の故郷。まだ米軍もいるし、戦争の爪痕も残っている。日本唯一の場所。住んでみたらわかったこともたくさんありました。(60期台)」

まとめ

 以上が、那覇修習についての先輩方の「生の声」でした。
 東京や大阪修習とは異なり、小規模修習地ならではの人間関係の濃さがあり、また地元の人との交流も楽しかったという意見を多く聞きました。なによりも自然の豊かな中で、受験生活の疲れを癒して、仲間と思い切り修習生活をエンジョイできたという声が多かったです。「車をゲットした方が行動は範囲が広がる」というのも、電車のない那覇ならではのアドバイスと言えそうです。

 修習中の「家賃の平均」は、「約57,000円」でしたが、都会と比べると家賃はそこまで高くないためか、2DKや1LDKなどの広めの部屋に住んで、修習同期の友人が沖縄に遊びに来た時に宿泊できるようにしていた、という方も結構いました。
 なお、「修習中によく行ったお店」としては、「古都里、学食みたいなノリで安くて美味しい。(70期台)」、「井上、かわじ(お寿司)、富士見(居酒屋)(60期)」といった意見があり、修習中にみなさん行きつけのお店を見つけて、現地で楽しんでいるようでした。

 修習の開始時期は、ちょうど本格的な冬シーズンの到来時期と重なるため、東北や北陸では「初日から雪が降っていて寒かった」という方もいらっしゃいましたが、温暖な沖縄では、そのようなこともないので、その点もとても羨ましいですよね。
 いずれにせよ、法曹となる前の最後の一年、みなさん公私ともに思い切りエンジョイしてくださいね。

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